分散とは、データの散らばりの度合いを表す値です。具体的には、平均から各データがどれだけ離れているかを定量的に示す指標です。分散が大きいほどデータのバラつきが大きく、小さいほどデータが平均に近いことを意味します。
分散の求め方
分散を求める基本的な方法は、下記の公式を用いることです。
[
\sigma^2 = \frac{1}{N} \sum_{i=1}^{N}(x_i – \mu)^2
]
ここで、
- ( \sigma^2 ) = 母分散
- ( N ) = データの個数
- ( x_i ) = 各データ点
- ( \mu ) = データの平均
分散計算の流れ
- データの平均を計算する。
- 各データ点から平均を引いた値(偏差)を計算する。
- 偏差を二乗する。
- 二乗した結果を全て足し合わせる。
- Nで割る(母集団の場合)。標本の場合はN-1で割ります。
例題
データセット:[ 4, 8, 6, 5, 3 ]
-
平均:
[
\mu = \frac{4 + 8 + 6 + 5 + 3}{5} = 5.2
] -
偏差:
値 偏差((x_i – \mu)) 偏差の二乗 4 -1.2 1.44 8 2.8 7.84 6 0.8 0.64 5 -0.2 0.04 3 -2.2 4.84 - 偏差の二乗の合計:
[
1.44 + 7.84 + 0.64 + 0.04 + 4.84 = 14.8
]
- 偏差の二乗の合計:
-
分散(母分散):
[
\sigma^2 = \frac{14.8}{5} = 2.96
]
分散と標準偏差の違い
分散はデータのバラつきを表す指標ですが、標準偏差はその平方根です。つまり、分散は単位が二乗された値ですが、標準偏差は元の単位を持つため、解釈が容易です。例えば、データが点数である場合、分散の単位は点数の二乗になりますが、標準偏差は点数そのものの単位になります。
以下の表は、分散と標準偏差の関係を示しています。
指標 | 計算式 | 単位 |
---|---|---|
分散 | ( \sigma^2 = \frac{1}{N} \sum (x_i – \mu)^2 ) | 数値の二乗 |
標準偏差 | ( \sigma = \sqrt{\sigma^2} ) | 元の数値の単位 |
注意: 指標の選択は、データの性質や分析する目的によって異なります。
参考動画
データの管理と分散
分散はデータの正確な分析に欠かせない要素であり、特にビジネスや研究においては、データのばらつきを定量的に測定することで、異常値の特定や傾向の把握に役立ちます。
分散の活用例
- 品質管理: 生産過程での不良品率を減少させるために、製品の数値データから分散を求めることで、ばらつきを把握します。
- マーケティング: 顧客の購入金額の分散を分析することで、セグメンテーションやターゲティング戦略を立てる際の参考にします。
- 金融: 投資ポートフォリオのリスクを評価するため、リターンの分散を計算し、危険度を測定します。
分散表の作成
分散を求める際には、データを整理するために表を作成することが有益です。以下は簡単な分散計算のための表例です。
データ点 | 偏差 | 偏差の二乗 |
---|---|---|
1 | 0.5 | 0.25 |
2 | -0.5 | 0.25 |
3 | 1.5 | 2.25 |
4 | -1.5 | 2.25 |
分散の計算式
分散の計算式には、母分散と標本分散の二種類があります。どちらを使用するかはデータのタイプによります。
-
母分散
[
\sigma^2 = \frac{1}{N} \sum_{i=1}^N (x_i – \mu)^2
] -
標本分散
[
s^2 = \frac{1}{n-1} \sum_{i=1}^n (x_i – \bar{x})^2
]
ここで、標本分散は自由度の補正を加えることで、母集団の推定をより正確に行います。
FAQ
Q1: 分散を求める際の精度を向上させる方法はありますか?
A1: 分散を求める場合、十分なサンプルサイズが必要です。少ないデータポイントの場合、偏りが生じることがありますので、データの収集を工夫し質を上げることが重要です。
Q2: 分散が0の場合はどういうこと?
A2: 分散が0の場合、すべてのデータポイントが同じ値であることを示します。データにばらつきがない状況です。
Q3: データが正規分布していない場合、分散の解釈はどうすれば良いですか?
A3: データが非正規分布の場合、強い外れ値の影響を受ける可能性があるため、分散だけでなく、他の指標(例:四分位範囲)の活用を考慮する必要があります。
分散はさまざまな分野で重要な役割を果たし、特にデータ分析においては基本的な指標です。正確な計算と適切な解釈が求められます。詳細な解説や計算方法については、以下のリンクを参考にしてください: Sci-pursuitの分散についてのまとめ。